最後まで脱力するべきなのか、スナップをある程度意識して力をいれるべきなのか

私は理学療法士をしていてスポーツ傷害の防止について研究をしています。
プロの打ち方を真似するのが最もスポーツ傷害防止の早道と考えております。そこでプロの打ち方を連続写真や動画で見てみるのですが、なに分天才がやっていることですので凡人の私にはなかなか解析できません。そこで太郎さんの脱力テニスをネットで見つけて購入させてもらいました。
内容は大変良かったのですが、ネットに出てるものと同じ程度だったので、打ち方がもっと詳しくDVDには出ていると思っていたので、期待がおおきかったので少し物足りませんでした。特にボレーが物足りませんでした。

私も脱力して打つのがよいと思っています。
が、私の考えは少し違うところがあって、というより迷っているところがあります。

私の考えでは、骨盤の回旋で上肢(肩から手までのこと)がしなります。
体幹のねじれ戻しにより体幹に固定された上肢が振られます。
肩は体幹に固定、つまり体幹の動きとともに上腕部は動くわけです。
そのとき、手は背屈尺屈に、前腕は回外へ、肩は外旋にしなっています。

しなりは他動的な動きであり、筋が伸長され、収縮しなくても元の長さに戻ろうとする弾力が働き、しなりと反対の運動が自然と出てきます。
それと、しなりが素早く起これば、伸張反射(膝の下をハンマーで打つと大腿四頭筋が素早く伸長されるため自動的に四頭筋が収縮し、膝が伸びるような反射)も生じると思われます。
したがって、脱力すればしなりと反対の動きが自然とおこるとは思います。

つぎに下肢からの運動連鎖を考えると、運動連鎖の最終運動はスナップです。スナップは前腕の回内、肩の内旋でおこなわれますが(フォアハンドの場合)、その大事なインパクトの時期を自然な動作にまかせるでしょうか。
プロの写真をみるとどうしてもインパクトのとき意識的に、すなわち随意的に回内しているように見えるのですが、どうでしょうか。随意的だとテニスエルボーになるでしょうか。

つまり迷いというのは太郎さんのいうように全く最後まで脱力するべきなのか、スナップをある程度意識して力をいれるべきなのかということです。
この迷いはサーブのときも同様です。しなりがうまくできていれば、その反対の動きが自然と出てくるのかもしれませんし、しなりプラスのもうひと押し的に筋の随意収縮が必要なのか、そこに一番迷っています。

それは私の打ち方が自然に任せると上肢がまっすぐ前に振れてしまって、プロのように回内しないからです。それまでの動きが悪いのかもしれませんが・・・。

それから地面と垂直に立つというのも迷いがあります。プロのフォアハンドの写真を見ると、体幹が少し前に、あるいは少し右に傾斜しているように思いますがいかがでしょうか。

すみません、長くなりまして。こうして書いていると自分の脱力具合がまだうまく脱力されていないからかもしれん、と思ってきましたが、よければ太郎さんのスナップ動作(つまりインパクト時)の感触をおしえてください。
また「しなり」は意識すべきでしょうか、気にせず打つべきでしょうか。できれば教えてください。
ではよろしくお願いします。失礼します。

こんにちは、はじめまして。メールをありがとうございます。
僕の大好きな分野のお話しが聞けて、とてもとても嬉しかったです。
身体のプロの方の御意見をありがとうございます。
そして、身体に優しい運動について真剣に取り組んでいる方に出会えて一緒に研究できる仲間ができたように勝手に感じて喜んでおります。私のインパクトの目標は、全く手首を使わないということです。
それは、どの随意筋も使わない方が、身体中心(丹田)からのパワー(気)を無駄なくボールへ伝えられるからです。
と言っても、僕が気のコントロールをマスターしているかというとまだまだ入口の段階かもしれませんが・・・(汗)

私が教えてもらっている武術の師匠とのさまざまな修練の中で、随意筋を使わない方が圧倒的に大きなパワーを発揮できるという体験は何度もしています。
随意筋を意図的に使わない方が、全く痛みが出ることが無く、身体に易しいという確信は持っています。
そして、プロの身体操作ですが、ほとんどのトッププロの選手は伸筋を連動させてパワーを発揮しボールに伝えていると思っています。

力感を伴う屈筋を脱力することで、伸筋の働きを充分に生かすことが可能になります。
これは、身体のしなりと言って良いと考えています。

本当の中国武術で言う脱力にはかなりの修練を必要とする場合が多いので、私もまずはこの脱力までの通り道として、生徒さんにはまずは伸筋連動の一般的な動きで打つことを多めに指導しています。
というのは、その方が生徒さんが理解し易いからです。

筋肉隆々の外人トッププロや筋トレをしまくっているアスリート選手は、多少インパクトで手首の操作を使っていると思います。(僕もついつい以前の習慣で無意識に手首を使ってしまい、師匠に指摘されています)
が、僕はその手首の操作はごまかしの部分だと思っています。

タイミングのずれや力の伝達のずれをごまかすのに、手首の操作はとても便利なものなんです(笑)
ですから無しか有りかと聞かれれば、有りだと思います。

軸の使い方も、多くのプロはインパクトの瞬間には身体が地面と垂直に起きていますよね。(テークバック時は傾いている選手が多いですが)
DVDの通り、軸を起こす意味は重力に対してもより筋肉をリラックスさせる目的があります。
一般プレーヤーの場合は、テークバック時に身体が前傾してしまうと、インパクトの瞬間もバランスが崩れたままに成り易く、力が抜けにくくなり、中心から来るパワーをボールへ伝えにくくなります。ですから、はじめから姿勢を起こすようにお伝えしています。

人間の身体はエネルギーの塊ですので、エネルギー力学とでも言うべきなのかもしれませんが、今のところ固体力学ではなく流体力学で考えて効率の良いパワーの伝え方を指導させて頂いています。話がマニアックになってすみません。ついつい(笑)

DVDでは、本当に基本の部分をお伝えしたかったので、あのような内容になりました。ですから専門家の方には物足りないかもしれませんね。是非、DVDの細かい部分に気を付けて何度も見直してみてください。

各ショットについては今後DVDを出して行く予定です。そして一通り各ショットを出したら、よりマニアックな僕の大好きな部分もDVDにして出していきたいと思っています。
これからもテニスビズを宜しくお願い致します。
そして理学療法士さんからの意見をまた是非聞かせてください。